大阪公立大学大学院医学研究科(共同研究代表者:濱崎考史教授)とセレイドセラピューティクス株式会社(代表取締役社長:荒川信行)は、低酸素性虚血性脳症におけるEx Vivo増幅ヒト造血幹細胞の有効性検討について共同研究契約を締結し、新たな治療法の開発に取り組みます。
<研究の背景>
低酸素性虚血性脳症(HIE)とは、生まれてきた赤ちゃんの呼吸や脈拍が弱くなっている重症仮死という状態の主な原因といわれている症状です。これは、出生時の何らかの要因により赤ちゃんの脳への血流が遮断されることによって脳神経細胞が低酸素・低血糖状態に陥ることで引き起こされることが分かっています。現代においても、生まれてくる赤ちゃんの一定割合でこのような状態の発生が報告されており、有効な治療法の確立が待ち望まれている症状の一つといえます。
大阪公立大学とセレイドセラピューティクスによる共同研究は、この低酸素性虚血性脳症に対して、臍帯血から採取したヒト造血幹細胞をEx Vivo(体外)で増幅させて移植する治療法の開発に役立てるべく、増幅させた臍帯血由来ヒト造血幹細胞をモデル動物で移植実験し、その有効性を検証するものです。
<公立大学法人大阪のこれまでの取組>
大阪公立大学大学院医学研究科の発達小児医学分野における研究グループでは、これまでも低酸素性虚血性脳症(HIE)で出生した重症仮死児への自己臍帯血幹細胞治療の研究に取り組んでいます。第Ⅰ相試験の安全性検証が2017年10月に完了し、その後の独立症例検討委員会の審査を通過し、特定認定再生医療等委員会において継続可能判定を受け、2020年11月より、第Ⅱ相試験を開始しています。
大阪公立大学ホームページ(お知らせ情報にも本件が掲載されております)
<本件の共同研究概要>
共同研究題目:低酸素性虚血性脳症におけるEx Vivo増幅ヒト造血幹細胞の有効性検討
共同研究代表者:公立大学法人大阪 医学研究科 発達小児医学 濱崎考史教授
共同研究期間:2022年4月1日~2023年3月31日
<セレイドセラピューティクス株式会社 代表取締役社長 荒川信行のコメント>
「本件共同研究の締結は、当社が有する造血幹細胞の増幅技術を、大阪公立大学大学院医学研究科の取り組むHIEへの自己臍帯血移植研究に役立てる道を開くものとして、大きな喜びを感じております。当社は引き続き、この優れた技術を社会実装するための活動を展開してまいります。」
|セレイドセラピューティクス株式会社について|
セレイドセラピューティクス株式会社は、2020年に設立されたバイオベンチャー企業であり、人の血液の源となる造血幹細胞を利用して白血病などの血液がんを含む難治性の血液疾患の治療に役立てる再生医療等製品の研究開発を行う会社です。
血液がん分野の治療では、根治のために一定量の造血幹細胞の移植が必要となります。当社事業では、この造血幹細胞を安全かつ効率的に増やし、新たな再生医療等製品として社会に提供することを目指しています。2019年に東京大学とスタンフォード大学の研究チームによって開発された技術を活用するものです。